37 “I COULD HAVE KILLED HIM.”

I could have killed him.

「にくらしいったらありゃしない。」くらいの日本語があたります。直訳の「殺してやりたいくらいだった。」という日本語は強すぎる。自分の幼い息子が、乗っている車の中で灰皿を引き抜いて車内に中身をまき散らした。これを思い出して、人に語っている母親の言葉です。この文に接したとき、私は衝撃を受けました。母親が自分の子供を「殺す」という言い方があり得ないと思ったからです。英語では could have が過去の事実に反したことを述べていることを示しているため大丈夫なのでしょう。同様に、 “You could have heard a pin drop.”は、「ピンが一本落ちたら、その音が聞こえただろうよ。」というのが直訳で、つまり、「誰もしゃべらずシーンとしていた。」という意味でよく使われています。これも could have が実際にピンが落ちたわけではないことを示しています。

また、辞書の用例などで見かける、”If I were to die tomorrow, what would my children do?”は、「私が明日死んだら、子供たちはどうするだろう。」という日本語があたるでしょうが、日本人の感覚としては「どうしてわざわざそういうことを言うの?」と思います。が、これも were to が「あり得ない」ことを示すため、語り手は聞き手に対して、「私は明日死ぬことは絶対にない」と述べていることになるわけです。以上今回は高校生のための英語教室でした。