46年前の1977年、獣医になりたいという中学3年生の女の子がいました。当時、獣医は男性が多く、女子の獣医希望者ということで、注目していました。ところが、彼女が高校3年生になったとき、進路希望が薬学部に変わっていたので理由を尋ねると、ご両親が強く反対されたとのことでした。反対の理由が、獣医は男の仕事で女の獣医などいないということでした。この生徒は、あえて親に逆らうことなく薬学部に進学しました。この女子と同期で、獣医学部に進学した生徒(この子は男の子)がいたので尋ねると、この時点で獣医学部に進学する女子は、確かに少なかったようです。しかし、6年後、この生徒が獣医学部を卒業するころ、獣医学部に入学する生徒は女子の方が多くなっていたといいます。
先の女子が、獣医学部に進学するのと、薬学部に進学するのとどちらが幸せであったかはわかることではありません。ただ、これは男子のやること、あれは女子のやることといった区分は、無意味なことも多く、個体差の方が重要でしょう。男子の看護師、保育士、美容師、また、女子の大型トラック運転士などの適任者数は、現状よりは多いと思います。
さらに、医師、弁護士、大学教授、会社役員などにおける女子の比率は、かなり小さく、これらは男子の得意な職業とも思えないので女子の進出が相当期間続くでしょう。
48年間子供たちと付き合ってきて強く印象に残ることは、「小学生も中学生も高校生もとにかく女の子は元気がいい。少なくとも夢を語る子、夢を実現する子がある程度いる。それに対して、男の子は元気のない子が多い。』ということなのですが、これからの進路が広がって行くものと、狭まっていくものとの差であると思えば、あまりにも当たり前なのかもしれません。
しかし、男の子たちよ、すべてこれからという意味では同じ立場なのだし、女の子に負わされていたハンディキャップが外されるだけなのだ。対等なもの同士のレースにまじめに取り組んで、元気良く自分の進路を確保しなくては。