いまから45年以上前の1975年、10年ぶりに中学の理科の教科書を見たときのことです。『棒暗記は間違った学習法で、思考力を養うのが大切だ』というわけなのでしょう。アルキメデスの原理もパスカルの原理もなくなって、代わりにそれを導き出すための実験の仕方が並んでいたのです。しかし、人類史上天才だけが見出してきた法則を中学生に発見せよというのは無理というものです。
また、この時期、数学も〈集合〉と〈確率〉を強引に(中学生には難しい、現在の高校生に教えるやり方で)扱っていました。この教科書を使った生徒たちは、今61歳から64歳くらいです。この年代に理科と数学嫌いが大量発生していても私は不思議に思いません。
かけ算とたし算の『九九』が、人として必須であるのは明らか。また、『百人一首』を中学生のうちに暗記してあれば、どんなにか豊かな人生を送れることでしょう。《暗記》の大切さを見直す時期に来ているのではありませんか。