国語の試験問題は、文章を読んで問いに答えます。この時、正解するために必要な情報は、必ず出題された文章の中にあります。出題された文章が元はもっと長くても、その省かれている部分は関係がありません。つまり、出題された文章の元の文章の全体を読んだことのある人と出題された文章を今初めて読む人との間に、有利、不利が起こらないように、問題は作られています。
ところが、そのこととは別に、現在の中学校、高校の国語の入試問題が前提にしている絶対的正義=定理があります。
定理1「異文化理解」:食事をするときに、指を使う文化もあれば箸を使う文化もあればスプーンを使う文化もある。そしてその3者の間に優劣はない。
定理2「持続可能な社会」:化石燃料の使用は、地球温暖化を引き起こす。これを防ぐには再生可能エネルギーを使うべきである。
定理3「西洋では人間が自然を支配しようとしてきたが、日本では人間は自然の一部であった」:「西洋は石の文化、日本は木の文化」という対比もあります。
定理4「印象的な表現」「感覚的な表現」:どちらも優れた描写力を称賛する言葉です。
定理5「合理的な理由がないのに人の嫌がることをするのは、良くない」:物語・小説の登場人物の心情理解にかかわります。
理科であれば、「力学的エネルギー保存の法則」「作用・反作用の法則」は太字で書いてあるので、常に意識できますが、国語の絶対的正義=定理は、生徒自ら意識するか、指導者の指摘によってそれと知っておく必要があります。