1981年頃にゆとり教育が開始されました。今55歳から57歳の人たちが中学生の頃です。『詰め込み教育をやめてゆとりの教育を』の実施です。勉強する内容を減らして授業時間を減らし、部活動等の時間を増やすものでした。土曜日を休みにするために、1993年にもう一度ゆとり教育の強化があり、2003年にさらに強化されました。つまり、勉強する内容がとても少なくなったのです。このときは、心配する人も出て少し騒ぎになりました。以前中学までに勉強していた内容を、2003年からは高校2年までかけて勉強していました。
インドの中学の数学の教科書は、日本の3倍くらいの厚さがあります。内容はそれほど差がないのですが、演習量が全く違うのです。『詰め込み教育』ではなく、きちんと定着するように演習が十分に用意されているのです。むしろ、インドの方がゆとりを持って数学の習得ができると言うことができます。
『中学校で3年間英語を勉強したら、英語が話せるようになっていいんじゃないか。』と言われ、『使える英語を学べる教科書が』求められてきました。教科書が改訂されるたびに『今度の教科書は使える英語が学べます。』ということでしたが、ふたを開ければ似たようなものでした。ところが、2003年の学習内容の削減で、いよいよ内容が減り、見違えるようにすばらしい教科書ができました。この教科書で3年間勉強すれば、英語が話せるようになるのは間違いなしというできばえです。でも、だめでした。授業時間も減ってしまったのです。以前のように週5時限あれば完璧なのに、2003年以降は週3時限です。これではどうにもなりません。
『ゆとり教育』の成果を上げるには、内容を減らして授業時間を維持するしかありません。「『詰め込み』ではなく『ゆとり』を」の本来の趣旨を是非貫いてほしいものです。