春期講習会は最終日の7日目を迎えました。今日は年度初めの学力テストを実施して、生徒のみんなは奮闘していました。
初日の休憩中に4月から中学1年生になる塾生から、「先生、ジャマイカって知ってる?」と訊かれました。曰く、「ハンドスピナーみたいな形で、サイコロがいくつも付いていて、車のナンバーで\(\:\: 10 \:\:\)を作るゲームと似ているやつ!」とのこと。五小の先生が持っていたようです。
車のナンバーで\(\:\: 10 \:\:\)を作るゲームとは、私が彼らによく教えるゲームで、車のナンバーの4つの数字を1回ずつと\(\:\: +, \:\: -, \:\: \times, \:\: \div, \:\: ( \:\: ) \:\)の記号を使って、四則演算だけで\(\:\: 10 \:\:\)を作るゲームです。
通りを走るすべての車で\(\:\: 10 \:\:\)が作れたら天才!などと言って、ゲームを通して楽しみながら暗算力を高めてもらうのが目的です。

彼の言葉を聞いて、懐かしい思い出が蘇ってきました。というのも、もう20年弱も前に私が小学生だったころ、算数の授業でクラス全員に配られて、授業で遊んでいたからです!
当時の懐かしい記憶を思い出しながら、実家でジャマイカを探しましたが見つからなかったので、Amazonで千円ちょっとでポチリました。
ジャマイカのルール
ジャマイカは、黒のサイコロ2個の目の和を残りの5個の白のサイコロで作るゲームです。
白のサイコロは必ず1回ずつ使用し、\(\:\: +, \:\: -, \:\: \times, \:\: \div, \:\: ( \:\: ) \:\)の記号を駆使して、四則演算だけで黒の目の和を作ります。
\(2 \:\:\)と\(\:\: 5 \:\:\)で\(\:\: 25 \:\:\)としたり、\(\:\: 2^5 \;=\; 32 \:\:\)と累乗を使うことは出来ません。

上の画像の場合、黒のサイコロ2個の和\(\:\: 10+6 \;=\; 16 \:\:\)を作るのが目標になります。
皆さんは出来ますか?
例えば、\(\:\: 4\times(5-1+2-2) \:=\: 16 \:\:\)で出来ます。
ほかにも、\(\:\: 2\times4+2+5+1 \:=\: 16\:\:\)や、\(\:\: 4\times5-2\times2\times1 \:=\: 16\:\:\)でもいいですね。
練習問題
では練習問題を4問5問(最後に1問追加しました 2023/4/7)やってみましょう。
まずはこれ。

\(\:\: (4+6+2\times6)\times1 \:=\: 22 \:\:\)や、\(\:\: 4\times6-6\div(2+1) \:=\: 22\:\:\)で出てきます。
次はどうでしょう?

例えば、\(\:\: (3+2)\times(6+4+1) \:=\: 55\:\:\)でいけます。
今度はこれ。

\(\:\: 6\times6-(2+1+1) \:=\: 32 \:\:\)はどうでしょう。
表ができたら、裏返しても遊べます。

じっくり考えて、\(\:\: 5\times\{6+6\div(1+1)\} \:=\: 45\:\:\)を捻り出しました。

これはどうでしょう?私には解けませんでした。
解けたら下のコメント欄から教えてください!
戦略
練習問題であったように、中には解けない場合もあります。黒の目の和が\(\:\: 66\:\:\)に対して白は\(\:\: 1 \:\:\)が5個しかないような、白が少なすぎる場合は諦めがつきやすいですね。
でも諦めの悪い私は、解けるものは全部解きたい!ホントは解けたのに諦めるのは悔しい!けれど無理な問題に時間はかけたくない!と、わがまま心が湧いてきました。
よってこの項では、自分なりに考えを巡らせる順番を定めて、それで無理ならすぐ諦められるようなマニュアルを作ってみたいと思います。
解くのが難しいケース
まずは一般的に解くのが難しい、手ごわいケースを整理します。
Easy | \(\longleftrightarrow\) | Hard |
小さい | \(\longleftrightarrow\) | 大きい |
約数が多い | \(\longleftrightarrow\) | 約数が少ない |
偶数 | \(\longleftrightarrow\) | 奇数 |
最初に、求めるべき黒の目の和が大きい場合は難しいことが多いです。黒の目の和が\(\:\:5,60 \:\:\)のとき、大抵は白の目の足し算だけでは足りないことが多く、大きい数字の掛け算をする必要が出てきます。サイコロで一番大きな目である\(\:\: 6 \:\:\)同士の掛け算でも、\(\:\: 6\times6 \:=\: 36 \:\:\)で足りません。ほかの目を加えて\(\:\: 7,8 \:\:\)や\(\:\: 9 \:\:\)を作る必要があるのです。このとき掛け算をするためだけに3個以上の白のサイコロを使わなければいけないので、その後の手数が狭まり、解ける可能性が下がります。
次に、黒の目の和の約数が少ない場合も手ごわいことが多いです。特に素数のときは、正の約数が\(\:\: \{1,\mbox{その素数自身}\} \:\:\)の2個しかないので、掛け算を使う手が厳しくなります。選択肢が減るということは、答えを求められる確率が下がるということです。
また、黒の目の和が奇数のときも、前の2例よりはましですが少し大変です。掛け算で偶数と奇数を作ることを考えてください。
\(\:\: \mbox{偶数}\times\mbox{偶数} \:=\: \mbox{偶数}\:\:\) |
\(\:\: \mbox{偶数}\times\mbox{奇数} \:=\: \mbox{偶数}\:\:\) |
\(\:\: \mbox{奇数}\times\mbox{偶数} \:=\: \mbox{偶数}\:\:\) |
\(\:\: \mbox{奇数}\times\mbox{奇数} \:=\: \mbox{奇数}\:\:\) |
掛け算で偶数を作るのは簡単ですが、奇数を作るのは掛ける2個の数がともに奇数でなくてはならず、単純計算で3倍難しいです。
以上が、ジャマイカを解くうえで比較的難しい状況でした。

いま整理したことを参考に、対策を立てていきましょう!
約数を手掛かりにする。
黒の目の和が\(\:\: 24 \:\:\)や\(\:\: 16 \:\:\)のように、約数が多い数のときは比較的簡単です。
\(24 \:\:\)の正の約数は、\(\:\: \{1, \: 2, \: 3, \: 4, \: 6, \: 8, \: 12, \: 24\} \:\:\)で8個あります。
この場合、白5個で、\(\:\:1\times24\:\:\)、\(\:\:2\times12\:\:\)、\(\:\:3\times8\:\:\)または\(\:\:4\times6\:\:\)のいずれかのペアを作ればよいのです。もし仮に、白の目の中に\(\:\: 3 \:\:\)の目が1個でもあれば、残りの白4個で\(\:\: 8 \:\:\)を作ればいいだけなので、自由度が高く正解が作れる可能性が高いです。
実際の問題で試してみましょう。

黒の目の和は\(\:\: 24 \:\:\)です。
白の目の中に\(\:\: 2 \:\:\)があるので、残りの白4個で\(\:\: 12 \:\:\)を作ることができれば、\(\:\: 2\times12 \:=\: 24 \:\:\)で解けます。
少し考えれば、\(\:\: 5+4+2+1 \:=\: 12 \:\:\)、\(\:\: (5-2)\times4\times1 \:=\: 12 \:\:\)や\(\:\: 2\times4+5-1 \:=\: 12 \:\:\)など、何通りも出てきますから、\(\:\: 2\times12 \:=\: 24 \:\:\)の線で上手くいったことになります。
正解例は、\(\:\: 2\times(5+4+2+1) \:=\: 24 \:\:\)です。
また、白の目に\(\:\: 4 \:\:\)もありますから、\(\:\: 4\times6 \:=\: 24 \:\:\)の線もあります。残りの白の目\(\:\: 1,\:2,\:2,\:5 \:\:\)で\(\:\: 6 \:\:\)が作れるか、これは皆さんが考えてみてください。きっと出来るはずです。
約数が多い数に近づける。
一方、\(\:\: 31 \:\:\)のような素数の場合、正の約数は\(\:\: \{1,\:31\} \:\:\)の2個で、そのまま約数を手掛かりに解こうとすると著しく自由度が下がります。このような場合は、近くの約数が多い数に変えてから、約数を手掛かりにする手順を実行するとよいです。

上の写真の場合、\(\:\: 1 \:\:\)の目を置いておいて残りの\(\:\: 1, \: 4, \: 5, \: 6 \:\:\)の目で\(\:\: 31 \:\:\)を作るのは難しそうです。

あとから気づきましたが、\(\:\: (1+4)\times5+6\times1 \:=\: 31 \:\:\)や\(\:\: 4\times6+5+1+1 \:=\: 31 \:\:\)で出来ますね!
ここでは出来ない体で読んであげてください。
そこで\(\:\: 36-5 \:=\: 31\:\:\)に着目して、\(\:\: 5 \:\:\)の目以外で\(\:\: 36 \:\:\)を作ることを目標にしてみましょう。\(\:\: 36 \:\:\)の正の約数は、\(\:\: \{1, \: 2, \: 3, \: 4, \: 6, \: 9, \: 12, \: 18, \: 36\} \:\:\)で9個もあるので、残りのサイコロが4個しかなくても解けるかもしれません。
果たして、\(\:\: 6\times6 \:=\: 36\:\:\)狙いをすると、すぐに\(\:\: 6\times(1+1+4) \:=\: 36 \:\:\)を思いつきます。
以上から、正解例は\(\:\: 6\times(1+1+4)-5 \:=\: 31 \:\:\)となります。
\( 1 \:\:\)を有効活用する。
\(\:\: 1 \:\:\)は便利な数字です。足したり引いたりすることで\(\:\: 1 \:\:\)ずらすことも出来るうえに、掛けたり割ったりすることで実質無いものとして扱うことも出来ます。
よくある事として、白のサイコロ4個で目的の数は完成することができて、残りの白1個が邪魔というパターンがあります。
上の写真では\(\:\: 2\times2\times2\times3 \:=\: 24 \:\:\)で出来てしまっているので、残った\(\:\: 1 \:\:\)は不要です。もし残った白の目が\(\:\: 1 \:\:\)でない場合は処理に困ることになりますが、今回のような場合は\(\:\: 1 \:\:\)を掛けるか割ってしまえば簡単に処分が出来ます。
よって解答例は、\(\:\: 2\times2\times2\times3\times1 \:=\: 24 \:\:\)または\(\:\: 2\times2\times2\times3\div1 \:=\: 24 \:\:\)となります。
大きな数同士の足し算を考える。
(↓以下の内容は書きかけで投稿してしまったので追記になります。 2023/4/7)
黒の目の和が大きく約数も少なくて、上で挙げたアイデアで解けない場合、最終手段をとります。それは大きな数同士の足し算(もしくは引き算)を考えることです。サイコロの目の最大である\(\:\: 6 \:\:\)より大きな数同士を加減することで目的の数を作ります。

例えば上の写真の場合、今までの考えを手掛かりにして解こうとしてもうまくいきません。
そこで、白の目から\(\:\: 6\times4 \:=\:24 \:\:\)や\(\:\: 5\times4 \:=\: 20 \:\:\)が見えるので、黒の目の和\(\:\: 43 \:\:\)に近づくよう、それっぽく適当に数をいじると\(\:\: 24+20-1 \:=\: 43 \:\:\)と出来てしまいました!
よって解答例は、\(\:\: 6\times4+5\times4-1 \:=\: 43 \:\:\)となります。
ほかにも、\(\:\: (6+1)\times5 \:=\: 35 \:\:\)と\(\:\: 4+4 \:=\: 8 \:\:\)から\(\:\: 35+8 \:=\: 43 \:\:\)が見えるので、\(\:\: (6+1)\times5+4+4 \:=\:43 \:\:\)でも良いですね。
いまの例を見てもらうと分かるように、これまでに挙げたアイデアとは違って、思い付きでやったら出来てしまった感の強いやり方になります。なので、最後の手段として取っておいて、他のアイデアでいけなかったら試してみるのが良いかもしれません。
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